17-セブンティーン-
進もうとすると
カツン!
爪先が棚に当たって、静かな書庫に響く。
「にしはらくん」
俺に気がついた保坂さんが、
目を丸くしていた。
俺は軽く手を上げる。
なんでこういっつも変なタイミングなんだろう…
俺から彼女の元に寄る。
「久しぶり…元気?」
俺の一言に、彼女はこくんと首を縦に振った。
実際会ったところで俺自身、
なにをしたいかとか、なにを話したいかとか
漠然としすぎて何も固まっていなかった。
やはりあっさりと会話に詰まる。
あぁ~気持ち以前に、頭がもやもやしている。
俺は何を聞きたかったんだっけ。
俺は何を確かめたかったんだっけ。
保坂さんの手元の本をちらっと盗み見る。
その本…
いつか俺に薦めてくれたものだ。
保坂さんは『持ってる』と言っていた詩集のような本。
家でも読めるのに、学校でも読むなんて、よほど気に入っているようだ。
しばらくその本に視線を留めていると、その本がぱたんと閉められた。
「どうか…したの?」