17-セブンティーン-
「え…これ…?」
「前の机に、あまったプリント、いっぱいあったよ」
前の机とは、教卓のことだ。
彼女はにっこりと笑った。
「ほかにも、英語とか、社会とか、いっぱい」
俺はプリントを受け取った。
「そうなんだ…ありがとう、助かった」
俺の言葉に、彼女は満足そうに頷いた。
この人、笑うんだ…。
No.1、2、4は家にあるが、せっかくなのでもらっておこう。
No.3の内容を見ると、穴埋めだらけで
「答えが…」
ない。
俺は顔をしかめてしまった。
「あ、私のでよかったら、みる?」
保坂さんは自分の席に行き、自分のプリントを探し出した。
「助かる!」
俺は彼女を追いかけて、前の席に座った。
プリントを見せてもらうと、かわいくて整った、見やすい女の子の文字が、お行儀よく並んでいた。
この人、字書けるんだ…。
「はい、どうぞ」
彼女はにっこり笑って、自分の筆箱を開けて、俺にすすめた。
オレンジのペンを借りて、俺は自分のプリントを埋めていった。