17-セブンティーン-


プリントの3分の2ほど埋まった頃、後ろのドアが開いた。

条件反射で振り返ると、保坂さんだった。


「おー久しぶり」


俺の挨拶に彼女はにっこりと微笑んだ。


テストの前日以来、彼女の姿は見てなかった。

プリントもきっちり持っていたし、まさか休んではないだろうと思っていたが

やはり、どこか別の教室で受けてたんだろう。


窓の外を眺める後ろ姿に


「ママ待ち?」


と投げ掛けると、こちらを振り返り


「うん」


と、頷きながら答えて、また窓の外に向いた。


再びプリントに向き直して、無事に完成した。

職員室に提出すると、麻生先生が


「あ、西原…今まで教室だった?」


と声をかけてきた。


「あ、はい」

「保坂さんは教室にいるかな」

「あぁ…いましたよ。ママ待ちみたいで」


俺の返事を聞くと「そうか」とにっこり笑った。


「プリントおつかれさま」

「ありがとうございます。失礼します」


< 18 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop