17-セブンティーン-
プリントの3分の2ほど埋まった頃、後ろのドアが開いた。
条件反射で振り返ると、保坂さんだった。
「おー久しぶり」
俺の挨拶に彼女はにっこりと微笑んだ。
テストの前日以来、彼女の姿は見てなかった。
プリントもきっちり持っていたし、まさか休んではないだろうと思っていたが
やはり、どこか別の教室で受けてたんだろう。
窓の外を眺める後ろ姿に
「ママ待ち?」
と投げ掛けると、こちらを振り返り
「うん」
と、頷きながら答えて、また窓の外に向いた。
再びプリントに向き直して、無事に完成した。
職員室に提出すると、麻生先生が
「あ、西原…今まで教室だった?」
と声をかけてきた。
「あ、はい」
「保坂さんは教室にいるかな」
「あぁ…いましたよ。ママ待ちみたいで」
俺の返事を聞くと「そうか」とにっこり笑った。
「プリントおつかれさま」
「ありがとうございます。失礼します」