17-セブンティーン-
群青
夏休みまであと数日。
俺の利き手から包帯は消え、代わりに大きめの絆創膏。
しかしもうばっちりバイトには復帰している。
ある日の放課後、俺は図書室にいた。
すると保坂さんの姿を見つけ、反射的にサッと回れ右をしたが
「にしはらくん」
と笑顔を向けられてしまった。
そして俺は反射的に軽く手を挙げてしまった。
いや、いいんだけど。
自分の行動の一貫性のなさに溜め息が漏れる。
「なにか、さがしてる、の?」
保坂さんは俺に近づき、小声で話す。
「いや、バイトまで時間あるから暇つぶし」
「何、時、から?」
小声で話すのは、いつも以上に話しづらそうだ。
「7時」
「なんの、バイト?」
「ウェイターだよ。ファミレスの」
図書部の人間がこっちを見た気がする。
物色を兼ねて奥へ移動すると、保坂さんもついて来た。
「夏休みも、するの?」
「うん、その予定」
「いそがしいね」
「そうでもないよ」
俺はある棚に着くと、丁寧に隅から隅まで見渡した。