17-セブンティーン-
黒縁眼鏡の策士
体育祭のパネル制作以外で、学校へ行く用事があった。
俺は図書館のパソコンの前にいた。
「あら西原くん」
「どうも」
「夏休みに珍しいね」
「ちょっと調べ物っす」
司書さんはにっこり微笑み、本の片付けのために奥の書庫へと消えた。
俺は手元のプリントを見た。
《進路調査書》
いくつかの学校をピックアップして、住所からアクセスから学費からを調べて、プリントを完成させなければならない。
進学を考えていない俺でも提出はもちろん強制。
地元の学校で適当に埋めようと思っている。
さて、やるか。
シャツの袖を少し捲る。
夏休みの図書館は意外と人がいた。
静かで涼しくていいかもしれない。
そんな静寂の中、キーボードを叩く音と、クリックするマウスの音が無駄に響く。
しばらく作業をしていた合間に伸びをしていたとき、図書館の入り口のドアが開いた。
入ってきたのは…宇宙人だ。
さっと身を隠した自分が情けない。
宇宙人は持っていた本をカウンターにおき、辺りをキョロキョロと見回していた。
司書さんや、図書部の人間を探しているのだろう。
宇宙人は諦めて、奥の書庫へ向かった。