17-セブンティーン-
俺は「じゃあおつかれ」と2人に背を向けると
「ちょっと待て!」
と速攻でストップがかかった。
「なんだよ」
「バイトはわかるけどよ、女の子を駅まで送り届ける余裕もないのかお前は」
「…」
橘さんと目が合うと彼女は慌てて
「いやっそんなっ」
と手をぶんぶん振った。
「遠慮しないで、女の子は男が守るのが義務だから」
眼鏡の鼻あてを、中指でくいっと上げて
クラス委員は「な」と俺の肩に手をおいた。
お前イギリス人かよ。
俺は肩におかれた手を取り
「わかった。じゃ3人で帰ろう」
と、そのままがっちり握手した。
「お前…」
「言い訳無用。言い出したのクラス委員なんだからな」
俺は跨がっていたチャリを降りて、押して歩いた。
「ほら行こう、2人とも」
橘さんはチラッとクラス委員を見て、小走りして俺の横に来た。
クラス委員はまだ立ち尽くしている。
「おい、ジェントルマン!ぼさっとしてないで最後までレディを見届けるぞ!」
俺のセリフに、クラス委員は深~いため息をついて
「わかってねーなぁ…もう」
と諦めてついてきた。