17-セブンティーン-


あの教室の中で

俺以外に、保健室の住民たちの存在を把握していたやつがいたなんて。


「誰にも文句言わせないつもりでいたんだけどな」


クラス委員は少し天を仰いだ。


「だいたいおかしいと思わねぇか?何で誰も気にしねぇんだよ。あいつらが俺たちに何したってんだよ」


そのときふと、頭に映像が浮かんだ。

思い出した。

プリントが散乱した宇宙人の机の上。

そのプリントをいつも片付けて、机に入れてやっていたのは…


「居場所くらい作ってやったって、バチ当たらねぇだろ」


クラス委員はそこまで言うと、深く息を吐きハハハ…と笑った。


「わり、ちょっと溜まってた。俺だって名前外したんだ」


プリントを仕舞うクラス委員と

それをぼやっと眺めていた俺。


そんな後ろ姿を俺は、いつの間にかまた《いつもの風景》にしていた。


「偽善だよな。笑っていいぜ」


クラス委員の顔に、力ない笑顔が浮かぶ。


「あの人たちのこと、そんなにいろいろ考えてるの、担任くらいかと思ってた」

「クラスメイトだぞ、当たり前だろ」




< 82 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop