17-セブンティーン-
あの教室の中で
俺以外に、保健室の住民たちの存在を把握していたやつがいたなんて。
「誰にも文句言わせないつもりでいたんだけどな」
クラス委員は少し天を仰いだ。
「だいたいおかしいと思わねぇか?何で誰も気にしねぇんだよ。あいつらが俺たちに何したってんだよ」
そのときふと、頭に映像が浮かんだ。
思い出した。
プリントが散乱した宇宙人の机の上。
そのプリントをいつも片付けて、机に入れてやっていたのは…
「居場所くらい作ってやったって、バチ当たらねぇだろ」
クラス委員はそこまで言うと、深く息を吐きハハハ…と笑った。
「わり、ちょっと溜まってた。俺だって名前外したんだ」
プリントを仕舞うクラス委員と
それをぼやっと眺めていた俺。
そんな後ろ姿を俺は、いつの間にかまた《いつもの風景》にしていた。
「偽善だよな。笑っていいぜ」
クラス委員の顔に、力ない笑顔が浮かぶ。
「あの人たちのこと、そんなにいろいろ考えてるの、担任くらいかと思ってた」
「クラスメイトだぞ、当たり前だろ」