17-セブンティーン-
小石を蹴ってしまった。
すると人影は俺に気付き、一目散に逃げていった。
「あ…ちょっと!」
逃げられちゃ、追っかけたくなるのが人間の習性だが、男が立っていたところまで来て、男が逃げた方向を見る。
すでに人影はない。
そして店内の方を向いてみる。
見えたのは近くのテーブルと、奥に先ほどまで俺がいたところに、店長と女の子が立っているのが見えた。
ここから何を見ていたんだろう。
「西原くん?」
突然、背後から名前を呼ばれて思いっきり振り返る。
「と…遠山さん」
「お疲れ様です。…どうしたの?」
店の外では、彼女はもう既に俺にタメ口だった。
「いや、なんか怪しい男がここに立っててね…あ、すれ違わなかった?」
「ううん、でも…」
遠山さんは眉を寄せて、少し首を傾げた。
「前にも店に来てたかも。確かこの辺に立ってて、その時は目が合ったらいなくなったんだけど」
なんだか、ゾクッとした。
「前っていつ頃?」
「うーん、1週間も経ってないと思うけど」
その日はそのままバイトを続けたが、俺はどうにも胸騒ぎを感じてやまないままだった。