17-セブンティーン-
夕焼けに向かうクラス委員の背中が浮かんだ。
あの日洗いざらい話してくれたクラス委員に俺は今、この上ない現実を突きつけている。
「ごめん…」
「なんで西原が謝るんだよ」
「でも」
「やめろ」
クラス委員は俺の言葉を遮った。
「保坂さんがやったって決まったわけじゃない」
切り裂かれたパネルの前で、クラスの連中が保坂さんに向ける空気が、嫌だった。
だけど俺も疑ってた。
でも保坂さんなら仕方ないかもと思った。
そう思うことでクラスの連中と自分自身を差別化した。
「なぁ西原」
「ん?」
「お前は《あんなこと言ったからだ》って自分を責めるなよ」
素直に返事出来なかった。
しゃがみ込んで、パネルを眺めていた保坂さん。
夏休みの間ずっと気になってたんだろう。
あの日俺を見つけて、教室に行く口実を作った。
きっと彼女は1人で教室に入ることさえ出来なかったのだ。
スケジュールに名前がないと知った日から。