【ほのB】リトル・プリンス
「……オレの足を故意に踏みつけるヤツに、初めて会ったよ。
 あんたも薄々オレの正体がわかって、さっきまでビビってたろうに。
 ……命知らずなヤツだな」

「るっさい!
 僕を刺客と間違えて、震えたヤツが、怖いワケないだろ?」

 僕は、鋭くささやいて、ふんっ! と鼻を鳴らした。

 ……これだから、何事も、最初が肝心なんだ。

 本当は、どっちの命もかかってない。

 ゲームみたいな、この場合は『怖い~』なんて。

 先に正直に言ったトシキの負けだ。

 トシキも、年下の僕に負けてやる気になったらしく。

 子犬が耳をぺこっと下げるように肩をすくめると。

 自分のギターを引き寄せ、ささやいた。

「怖ええ、椿姫~~」

「ガロティンだ!」

 ぴしっと、言えば。

 クビをすくめたトシキは、ばらららん、とギターの弦を弾いて、最初の一小節をひきはじめた。

 僕の要求道理の曲『ガロティン』を。






 
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