【ほのB】リトル・プリンス
 

「く……
 う……っ……!」



 里佳も、結花も、おばさん連中も。

 まず、中に入って来ない、男性用更衣室に滑るように飛び込んだとたん。

 ぷつっと、緊張の糸が切れて。

 僕は、床に膝をついた。

 僕の中に渦巻く熱は。

 ますます、凶暴さを増して、収まることを知らず。

 僕は、口の中で、うめくと、自分の肩を、自分で抱きしめた。

 床にうずくまり、冷えた床で火照ったカラダを冷まそうと、しても無駄で。

 強い熱が、辛かった。

 けれども、やがて。

 この感じが、初めて、じゃないことに気がついた。

 ……この辛さは、過去に経験済みで。

 僕の記憶が正しければ。

 ここまでキレイにハマってしまうと。

 ちょっとや、そっとでは、収まってくれないはずだった。

 僕は、もう一度、うめくと、壁を伝って立ち上がる。

 早く着替えて、家に帰り。

 直斗をさっさと追い出して。

 ハニーが帰って来るのを、ベッドの中で待ちたかった。



 僕は……多分。



 どこかで。



 媚薬を……使われたんだ。




 
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