いけない恋
 女性の人たちでも、経済的にゆとりをもてる社会になればよいなと私は心底思う。離婚をしてでも、子供たちと一緒に暮らしていける、そんな社会になればよいなとも。
 経済的に自立できる社会作りが必要不可欠だと私は考えていた。
 私は彼女を責め立てることは出来なかった。
 なぜならある意味彼女は社会の犠牲者のひとりだからだ。こんな格差社会の中でも彼女はひとりの女として、そして一人の人間として精一杯生きている。
 それを誰が責められようか。
 もし責めるとすれば、責めるべき相手が違う。
 こんな廃れた社会にした者たちを責めるべきであろう。
 彼女はやたらと暗がりを好んでいた。
 ホテルでも一緒にお風呂にも入りたがらない。
 私は不思議に思っていた。
 だけどその謎が解けた。
 あえては言わないが、彼女は結婚生活を良くは思っていないようだった。
 シミや傷というものは心にこびりつくものだけではないというとだ。
 彼女は口には出さなかったが、きっと辛かったのであろう。不純だ、と偉い人たちにどやされるかもしれない。だけど私は不純でもいいと思っていた。それはけっして不純であること正当化しているのではなく、人と人との心の結びつきを大切にしたかったからだ。
 たとえ、金と肉体の関係であってもだ。
 
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