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第2節.


近くに住んでいた家族は全員死んでいた。

家族、そして恋人だけはこのままにして腐らせてはおけないと強く思い、
親族のお墓まで行き、埋葬してきていた。

今時、土葬も無いだろうが、はじめ、自分で焼くことは出来ず、動物に荒らされないよう、自分で掘った穴にセメントを流し込み、その上に全員一緒に並べて寝かせた。


母親、妹、まだ小さい甥っ子、そして恋人の美佳も。

少しでも寂しく無い様に。


そのまま上からセメントを流そうかと考えたが、いつかまた骨の一部でも取りに来たいと思い、考えた末、上手く蓋をする術が無く、結局燃やして弔うことにした。


そうすれば、骨の一部を持ちあるくことが出来る。


すぐにガソリンスタンドへ灯油を「取り」に行き、足元の方から流し入れた。


やはり体の上からもかけた方が良いだろうと、上からもちょろちょろっと、そっとかけた。

その上に田んぼから取って来た藁を乗せ、また灯油をかけ、マッチで火を
付けた。


ボーっと燃えさかる火を始めは見つめて居たのだが、見ておられず、泣き喚きながら後ろを向き、やはりすぐに見つめ直した。目に焼き付ける様に。焼き付けと一心不乱に願いながら…。


見て、心に一生留めて置こう。そうしなければならないと思い直していた。


父親だけは仕事に出ていたため見つからなかった。

私は実家住まいでは無いため、父親とは一緒に住んでおらず、年中出張が多い仕事であったため、どこに行っているのかも分からず、あえて探すこともしなかった。

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