僕らの瞳にうつる世界。
第9章‐届かない手を伸ばして‐
また、だ。
また、先輩が居ない。
「…………」
誰も座られていないベンチを見つめる。
そして座る。
避けられている理由が全く分からない。
何かやったかな、あたし。
心当たりが全く無いんだよね。
…もう泣きそうだよ。
「先輩のばーかっ」
「誰がバカだ」
とか言って現れてくれないかな。
どうして来ないの?
歌うことをやめたの?
夢は?
あのオーディションはどうなったの?
話したいことは沢山あるよ。