僕らの瞳にうつる世界。


「恋って辛いね……」


「うん」



涙も乾いて来た頃、明日香が窓の外を見ながら呟いた。


彼女の足元に座るあたしは体育座り。



「好きな人に好かれるって難しい」


「…………」


「でも好きなキモチは変わらない」



確かに、明日香の言う通りだ。


変われない。消えない。君への想いは。

だから物凄く悲しい。



「よし!カラオケでも行くか」


「…うん。でも、そんな気分にはなれないから…ごめんね」



あたしがそう言うと「そっか。わかった」と明日香は言って。



「一人になりたいんでしょ?じゃあ優しい明日香様は帰ろうかな」



そう笑うと明日香は音楽室を出て行った。

< 161 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop