僕らの瞳にうつる世界。
◇
「先輩!」
「来るの遅ぇよ…」
カッコいいギターを抱えてベンチに座っているのは、ギターに負けないぐらい最高にカッコいい先輩。
彼が座るベンチの横にあるベンチに腰をおろす。
先輩は……
童顔のくせに目付きが悪くて、でも本当はすごく優しくて。
歌もすごく上手。
ステキな歌を自分で作って歌うんだよ。
本当にステキな人。
「俺の新しい曲、聴いてくれないか?」
先輩の問いかけにゆっくりうなずく。
遅いテンポで始まった曲はピッキングじゃなく、アルペシオの前奏から。