僕らの瞳にうつる世界。
「俺、結衣の夢を聞いた時〝俺が叶えてやりたい〟って思ったんだ。でも結衣の夢を奪ったのは俺で……」
「違う!!奪ったのはっ」
「わかってる。最後まで聞いて?」
「…うん…っ」
先輩の大きなキレイな手に包まれる、あたしの小さな手。
胸がドキドキする…。
「じゃあもう単刀直入に言う」
「…………」
「結衣の夢、俺に叶えさせてくれないか?」
ブワーっと滝のように流れる涙。
あたしの夢。
『大好きな人のお嫁さんになること!』
あっくんが死んだ時に、もう叶わないんだって諦めた、あたしの夢。
叶えてくれる人が現れた。
「あ…あり…が、と…」
「ふはっ。不細工な顔ー!」
「もお~~!」