僕らの瞳にうつる世界。
ニヤリと笑って歩き出した彼女に、ついて行くようにあたしも横に並ぶ。
あれ……?
「どこ行くの?」
「チャリ取りに……って、もしかして電車?」
「うん」
明日香、自転車なんだ。
じゃあ、ここでお別れだ。
「バイバイ」
「おー。また明日な」
明日香が左手を挙げると、アクセサリーがジャラッと音を立てた。
そして、そのアクセサリーの間から〝傷〟みたいなものが一瞬だけ垣間見えた。
なに、あれ……。
笑顔で去って行く明日香の背中。
思い浮かんだ言葉は―――…
――…リストカット。
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