僕らの瞳にうつる世界。
第4章‐この世界の始まりは‐
彼はオリジナルの曲を1曲歌ってくれた。
しっとりとしたラブソングだった。
それはまた、あたしにあっくんを思い出させたけれど、それほど胸は痛くならなかった。
……胸が温かくなった。
あっくんとの思い出は、あたしを苦しめるけど。それ以上にあたしを支えてくれていたんだと気づけた。
「泣き虫」
ギターをポロンポロンと適当に弾きながら、彼は笑った。
夜風が、彼とあたしの間をすり抜ける。
空を見上げれば、億千の輝き。
……あたし生きてる。
そう、思った。