僕らの瞳にうつる世界。
第5章‐ひとりじゃ、切らせない‐
辿り着いた先はちょっと新しげなアパートだった。
そこの202号室が、どうやら明日香の家らしい。
「ここに住んでるのか……」
「ああ。一人でな」
「ひ、一人っっっ!?」
あたしの素っ頓狂な声が響く。
先輩の呆れたような瞳があたしを見下ろしている。……怖い。
だ、だって!
高校生が一人暮らしって……
……あり得なくない?
「まあ、俺達の家系はみんな金持ちだからな」
「!?」
マジですか。じゃあ先輩もお金持ちのボンボン様なのですか。
……いろいろ。聞きたい事はいっぱいあるけど、まずは明日香が先だ。
よく分からないけど、先輩が言うには明日香の命がかかってるんだもの。