僕らの瞳にうつる世界。
目を覚ますとそこは保健室だった。
天井を見る目がまばたきをする。
不意に、横に人が居ることに気づいた。正確に言うならベッドの横の椅子に座っている人。
「あ、あの……」
「やっと目、覚ましたね。 30分ぐらい眠ってたよ」
ニッコリ笑う彼は制服をセンス良く着崩していて、かっこいい。
彼の黒い髪の毛が、開いた窓から入って来た風になびいた。
「あ、あの。もしかして、運んでくださったのって……」
「ん? 俺だけど?」
上体を起こしながら言うと、彼はサラッと言ってのけた。
……マジですか。
「す、すいませんっ。重かったですよね!? あぁ、どうしよう。本当すいません!」
早口で言い切って目を瞑っていると「ぷっ」と吹き出すような声が聞こえた。
え?