僕らの瞳にうつる世界。
「ちょっと待ってね」
そう言うと宝先輩は左手であたしの背中をさすりながら右手で器用にケータイを取り出して、誰かに電話をかけた。
もしかして……
「あ、光?……ちょっと待て、今変わるから」
あたしにケータイを差し出す宝先輩。ケータイを受け取ると恐る恐る耳に近づける。
「もしもし。先輩……?」
『…………お前…』
……先輩の声だ。
ちょっぴりハスキーな。
「うぅっ…せんぱい……うっ……」
また、涙が溢れた。
『は!? おまっ…泣いてんのか!?』
「だってぇ~……」
――すごく、
先輩の声が聞きたかったんです。
あたし。