僕らの瞳にうつる世界。
「結衣、ありがとう」
首をフルフルと振って応える。
「聞いて……?」
「なに?」
明日香があたしの肩を持って距離をつくるとあたしの顔を見すえる。
「うちね、ずっと寂しかったんだ。親は仕事ばかりして、小さい頃から独りで」
「うん」
「それでもさ、自分で言うのもあれだけどクラスでは人気者で……友達もたくさん居たから堪えられたの」
「うん」
友達、たくさん居たんだ……。
「でも、中学ん時いじめられてさ。ほら、うちって空気読めないじゃん?それで結衣も怒らせたし」
悲しく微笑みながら明日香は、自分の右手で左手首を押さえる。