それでもあなたに恋をする
新人歓迎会
「先輩?今日の歓迎会は何処で行う予定ですか?」
一日の仕事を全て終え、社に戻る車内。
何となく山口君に聞き損なった事を社長に尋ねた。
今まで当たり前の様に自分が行ってきた幹事が、なんの打診もないまま彼にお願いされていて、悔しいのかも。
だから、聞けなかったのかしら?
だけど、彼はしっかりしているから、何の心配もしていない。
きっとどんな仕事を頼んでも、そつなくこなしてしまうだろう。
なのに私ときたら、出来のいい部下にヤキモチやくなんて、上司失格だわ。
「雅、何も聞いてないの?」
「ええ。」
「そう。じゃあ、お楽しみにしておくわ。」
先輩は、ふふっといたずらっ子みたいに笑った。