それでもあなたに恋をする
「お楽しみって、先輩」
「ほらほら沖さん?よそ見したら危ないわよ?しっかり運転に集中してね。」
「――はい。」
たのしそうな社長に上手くかわされ、腑に落ちない。
まぁ、仕方ない。
すぐに分かる事だし。
そう諦め運転に集中した。
それから、会社に戻って郵便物やメールのチェックを行う。
「――沖課長。そろそろ切り上げられそうですか?」
そう声をかけられ腕時計を見れば、夕方6時を過ぎていた。
それから、隣に立つ彼を見上げると――
予想に反した至近距離に、心臓が跳ね上がる。
「大丈夫、もう少しで終わります。」
動揺を悟られないように、冷静を装い声のトーンを落とす。
そして、敢えて顔を背け視線を外した。
だって、年甲斐もなく……
頬が赤い事、知られたくないから。