それでもあなたに恋をする
「常務の車で先に向かわれましたので、我々も行きましょう。」
山口君はさらりと言った。
「お二人は車で向かったの?じゃあ、常務は飲まないつもりかしら…?」
我ながら下らない心配していると思うが、お二人共お酒が好きだから、我慢出来るとは思えない。
だけど山口君は、
「大丈夫です。」
と微笑んだ。
爽やか過ぎるその笑顔……反則、よね?
「――そう、ね。子供じゃないものね。」
そんな風に呟いて、不覚にもときめいてしまった胸に、気付かないふりをした。