それでもあなたに恋をする
素直になって?
「ありがとう」
金曜の夜だから、もっと渋滞しているかと思ったのに。
すんなり到着してしまった。
自分で助手席のドアを開け、振り返る事もせず降りようとする私に
「部屋まで送らなくて大丈夫ですか?」
山口君の声が聞こえた。
「そんなに酔ってるように見えるの?」
ドキッとしてしまった胸を誤魔化すように、上司の顔をして彼を睨みつけるけど
「途中で転びそうな気がします。」
笑いながらも心配そうなその表情に、振り返らなければよかったと後悔してしまう。
アルコールのせいにして、部屋に招き入れてしまったら・・・取り返しがつかない。
セクハラで訴えられるかもしれない。