それでもあなたに恋をする
「…――俺は」
「私の大事な人!」
山口君の言葉を遮って、一歩前に出る。
「は?雅の彼氏は、確か歳上のはずだろ?」
腑に落ちないという表情で質問してくるこの人にどこまで本当の事を教えるべきか悩むけど。
始めから他に彼氏なんていなかった。
と、正直に話すのもどうかと思う。
それは下らない大人のプライドかもしれないけど、今更この人の前で素直になったところで、この人との未来はないから。
「だから!今、一番大事な人よ!」
勢い任せにそう叫び、山口君の腕にしがみつく。
どうか、今だけでいいから、このままでいて。
内心そんな想いで一杯だった。