俺様彼氏注意報




『ぇえっ!!!ぜっ絶対もう名字では呼ばないぃぃっ』





胸元のシャツをぎゅっと握って、
テンパるあたしにふっと優しく
微笑んで手を差し出してきた。





「いくぞ。腹減った」




『…………』





須王が差し出した手をしばらく見つめ、
そっと握る。





それを見て、また優しく笑い、
あたしの手を引き歩き出した。





……ネクタイ……





須王ファンの子が"あの制服の着崩し加減が
またいいよねー!!"とかなんとか言ってたっけ…




着崩してたんじゃなくて苦手だっただけなんだ…





そんなことを考えると自然に緩む口元




おかしいよあたし…
みんなが知らない須王を知れて嬉しいだなんて…




赤い顔のまま、少し前を歩く
須王の背中を見つめて歩いた。






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