【短編】12年の想い
泣きながら歩き、近くの公園に入った。

誰もいない夕方の公園。

1人でブランコに座った。

ここで小さい頃、鬼ごっことか警泥とかかくれんぼして遊んだな。

わたしが隠れるといつも決まって亮ちゃんは見つけてくれよった。


「戻りたいよ・・・。」

一人で呟いた。

戻って・・やり直したい。

あんなこと言ってしまった前の自分に。

過去やったらいつでもええ。

そう思ってまた泣けた。


どのくらいいたんだろう。

来たときは明るかったけどもう真っ暗。

家に帰りたくないな。

でもこの泣きはらした目じゃどこにも行けない。


公園の遊具で1番おおきなのには空洞になっててそこは誰にも見つかることなくおれる場所がある。

そこにフラリと行った。

何年ぶりやろう。

この中に入ったの。

前は広かったのにもうしゃがまんと入ることは出来ひん。


そこでうずくまった。

携帯を開くと着信もメールもない画面。

見るだけで寂しさが襲った。

だから電源を切った。

鳴らないんなら電源なんて入れなくていいやん。


そしてうずくまったまま考えることは全部亮ちゃん。

何であんなこと言うたんやろ。

もう亮ちゃんの笑顔・・見れへんやん。

わたしの安定剤、なくなってしもたやん。

涙が止まることが出来なくなってしもた。
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