【短編】12年の想い
気付いたら背中がこわってるのがわかった。

寝てしまっとったらしい。

静かやし、暗いし、泣き疲れてそのまま寝たんやろ。

携帯の電源をつけると11時23分。

だいぶ寝てたんやなって自分でも笑えた。

寒いし、家に戻ることにした。


歩き慣れた道。

いつも自分の家が、ううん、亮ちゃんの家が近くなるってウキウキしとった道。

でも今はほんまどうでもええ。

出来れば引越しして離れたいくらいや。


家に近づくと門に立ってる人がおるのに気付いた。

間違うわけがない。


「何しとるん?」

うちの門の前におる亮ちゃんに声を掛けた。

わたしの声に気付いた亮ちゃんはわたしの方に歩いてきて無言でバッグを渡してきた。

そっか、バッグ置きっぱなしやった。


「ゴメン、ありがと。」

誰かに渡しとけばよかったのに。

そう思って横をスッと通って家に入ろうとした。


「チョコ、今までどこ行っとったん?」

急に腕をグッと掴んだ亮ちゃん。

驚いてそっちを見ると眉をしかめてた。

怒ってる??
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