【短編】12年の想い
なんで1日にせんかったかて言うと、見回りがおるから。

今日はあんまおらんやろうし、お酒やって飲んでみた。

あんま飲まないからすぐ酔いがまわってしまう・・・。

みんな飲んどるからハイテンション。


同じクラスやった山村くんがわたしの隣に来て


「黒田、ずっと彼氏おらんかったよな。何でなん?」

って聞いてきた。


山村くんはほんまかっこよくて学年で1番モテとった。

彼女ももちろんおらん期間の方が少ない。


「好きな人おったからなー。」


「そうなんや。過去形ないい方やな。」


「卒業式の日、フラれたからな・・。」

苦笑いしながら言った。

すると山村くんはわたしの頭を撫でてくれて笑顔で


「頑張ったんやな。」


って言うてくれた。

お酒が後押ししてわたしは山村くんの胸にポスッと頭を埋めた。

泣きそうやったし。


「12年、片思いしとってん。」


「12!?そりゃ長かったな・・・。ええ機会や。高校と同時にその人からも卒業したればええやないか。」


亮ちゃんから・・・卒業。

卒業と同時に大人になるて思ってたのに同時に亮ちゃんから卒業!?

考えてもなかったけど・・そうなるんよな。

そうせんといかんよな。


「そうやな・・・。そうせなあかんよな・・・。」


そう考えるとまたお酒が後押しして涙が溢れた。

泣いてるわたしを山村くんが廊下に連れ出してくれて優しく抱きしめて慰めてくれた。

女慣れしとる人はほんま思ったことを行動してくれるんやなって思った。

部屋では泣きたくなかったし。
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