【短編】12年の想い
すると背中にそっと亮ちゃんの手の感触が広がって耳にも亮ちゃんの髪が触れた。


「チョコ、俺やってな・・ずっとチョコが可愛くて仕方なかったんやで。」


そう言うと力がもっと強くなった。

初めてこんな力強く抱きしめられた。

それが亮ちゃん。

でも今亮ちゃんが言うた言葉、妹としてやん。


「手放すなんて・・出来ひん。俺の人生に必要なパーツの1つやねん、チョコは。」


パーツ?


「亮ちゃん・・どういう意味なん?」


「遠まわしすぎたな。俺やってお前が好きや。でも付き合うことは出来ひん。わかってくれ。でも離れて行かんでほしいねん。」


やっぱり妹として好きいうことやな。

もう苦笑いや。


「妹として好きやからそばにいてってことやな・・・。亮ちゃん、それは無理やで。わたし亮ちゃんのことお兄ちゃんなんて見たこと一度もないんよ?」


「違う言うてるやろ!!俺もお前が好きやって。でも付き合うことが出来ひんって・・・。俺やってほんまは妹としてみてへん。」


・・・??

意味がわからない。

亮ちゃんの言うてること、まじ意味不明だよ。


「ほんま・・なん??じゃあなんで付き合うこと・・」


「この前、写真見たやろ?アイツとの約束やから。」


あの綺麗な人やな。

約束??

聞いてええかな??


「何の約束なん??」


そう言うと亮ちゃんは目を伏せた。

聞いたらあかんかったんやろか??

ちょこちょこ通る人がこっちを見てくるのがほんま嫌や。

ケンカしとるて思われとるんやろうな。
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