【短編】12年の想い
そして卒業式。

「終わったら来るね~♪」

って言うとったけど・・ほんま来るんかな??

友達と用事あるやないんか??


そう思っとったのにほんまにチョコは来た。

誰もおらんかったからいつものように抱きついてくる。


「亮ちゃ~ん、卒業したよ♪」

つーかお前・・ニートやろ・・。

大丈夫なんか??

でもまぁ褒めとこう。

「よ~頑張ったな。」


そう言っていつものように頭を撫でた。

サラサラな髪が手のひらに触れる。

そんな俺を見上げてきたチョコは

「もう子どもやないで♪」

って自信満々に言うた。


お前はほんま子どもやないな。

綺麗やし、しっかりしとるし。

でも子どもでおってほしいわ。

どっか行ったりせんでほしいわ。

でも言えるはずもない。

約束もある。

忘れないために・・俺の子を忘れたりしないように恋愛関係の言葉を口に出さないって俺は決めてるし。

「ほんまやな。健治も俺と同じで複雑やろうな。ハハ。」

でも複雑やって言いたくて健治の名前を使った。

「どういう意味?」

そう聞くチョコに精一杯の嘘をついた。

「妹が大人になるんやなぁって。」

妹としてなんて全く見てへんのに。

両親がチョコのこと妹やって言うてるから使っただけや。


「そっか・・・。」

そう言うとチョコ寂しそうにも見えて心配に少しなった。

「チョコ?」

呼ぶとまたいつもの笑顔。

「亮ちゃん、ゲームしよ♪」

なんや気のせいか。

安心した。

「おう。部屋行くか。」

そうして部屋に移動した。
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