【短編】12年の想い
頭を撫でてあげた。

チョコはそうすると一番嬉しそうな顔するから。

でも下向いたまま。

なんやねん。

そう思ったときやった。

「っく・・・。」

チョコから聞こえた声。

変な声。

「チョコ!?どうしたん!?」

ビックリして言うとチョコは涙をいっぱい貯めとった。

またそれに驚きまくった。

「大人の女に・・いつなれるんやろ?」

大人・・・??

何の話をいきなりしとるん??

「大人の女・・?チョコが?」

そう言うと頷くだけ。

何の話や、ほんま。

何て言えばいいんや。

「チョコはもう・・大人やろ。しっかりしとるし。どうしたん、急に。」

自分でもオロオロしとるのがわかった。

チョコの涙なんて見たのいつ以来や。

小学生のとき、犬に追っかけられたとき以来やないか??

なんで今泣く??

不思議がってる俺に


「でも亮ちゃんからしたら・・・妹やん。ずっとこれからもそうやろ?」

妹?

何の話かさっぱり見えへん・・・。


「チョコ?何なん?どうしたん??」

泣いてるチョコに触れようと思った。

好きな女が泣いてるの見るの辛いし。

でも・・・

「触らんといて!!」

そう叫ばれて俺の手は弾かれた。

「卒業したってやっぱり何も変わったりせん。亮ちゃんの目に映るわたしは。もう辛いねん。」


ほんまなん!?

嘘や・・夢や・・ないんよな!?

やっぱり昔感じとったのは勘違いやなかったんや。

ほんま・・嬉しい。

今すぐ抱きしめて好きやって言いたい。

でも・・・・言えんのや。

約束があるんよ。

命、1つ消えてるんよ。

ゴメン、チョコ。

傷つけるかもしれへんけど・・・嘘やから。


「大切な妹や。チョコは。」


そう呟いた。
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