【短編】12年の想い
寒いけど黒田家の前でしゃがんだり、立ったりしてチョコを待った。

落ち着かない自分がすっげーわかる。

チョコに何度も電話したけど電源はやっぱり入ってない。

ここまでなると胸騒ぎまでしてくる。

ずっと無事を祈っとった。


11時半前、トボトボ歩いてくるチョコが見えた。

ホッとして力が抜けたのが自分でもわかった。

チョコは無事やった。


俺に気付いたのかチョコが身構えたのがわかった。


「何しとるん?」

何しとるんやないやろ。

お前待ってる他、何に見えるんや。

無言でバッグを俺は突きつけた。


「ゴメン、ありがと。」

そう行ってそそくさと家に入ろうとする。

目、腫らしてすごいことになっとる。

俺のせいやってわかっとるけど聞きたい。


「チョコ、今までどこ行っとったん?」

止めるために腕をガッと掴んだ。

無意識のうちにチョコを睨むように見とった。


「亮ちゃんには関係ない。」

そう言って腕を縦に振って俺の掴んだ腕を払いやがった。

関係ない・・・。

そりゃそうかもしれない。

でもそんな睨むなよ。

俺のせいやけど・・・嫌いになったりせんよな!?

でも・・このまま黙っちゃおれんのや。

「お前・・どんだけ心配したて思とるん?バッグないしカラオケ行けんやろ思って探しまわったんやで!?軽率な行動すぎるんちゃうんか!?」


「はいはい、どうせ子どもですから。ごめんなさい。」

まっじ可愛くねぇ。

でも・・・フラれとるってことになっとるし、強がりたくもなるか・・。

そんな早く帰れって表情せんでもええのに。

完璧・・嫌われた??




俺は逃げ出すように

「目、冷やしとき。」

と言って去った。

あのままおったら絶対抱きしめとったから。
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