【短編】12年の想い
助手席のドアを開けると見慣れた横顔。

21歳で営業の仕事をしよる兄の健治がタバコをくわえてこっちを見た。


「早かったな。」


「お兄ちゃん・・こんなとこ停めないでよ。目立つわ!!」


「はいはい。」


中身がないような返事をしてタバコを灰皿に押し付けたお兄ちゃんは車を発進させた。


決して家は金持ちなわけじゃない。

なのになぜハマーに乗っているのか。

それは懸賞で当たったから。

今年のお正月、応募したのも忘れてたんだけどいきなりテレビ局の人が来て”おめでとうございます!プレゼントです。”言うて持ってきた。

かっこええけどハンパなく燃費は悪いらしい。

まぁ、わたしは乗らんし関係ないんやけどな。

そんなこの車をほんまに羨ましがっとったのが隣に住む大学4年の亮ちゃん。

お兄ちゃんより1つ年上で、わたしより4つ年上。

わたしが記憶が鮮明になってる小学入学の頃からずっと好きな人。
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