【短編】12年の想い
「チョコ、俺やってな・・ずっとチョコが可愛くて仕方なかったんやで。」

言葉に出したら止まることが出来ん。

力は強くなり、細いチョコが折れてしまうんやないかってくらい抱きしめた。

長年の想いは強いもんなんやって。


「手放すなんて・・出来ひん。俺の人生に必要なパーツの1つやねん、チョコは。」

もう止まらず喋りまくっとった。


「亮ちゃん・・どういう意味なん?」


やっぱ遠まわしに言い過ぎたんか??

好きやって言うたがええんか??

でも・・そしたらもう絶対止まることは出来ん。

大体今やってチョコの泣き顔見てその唇に触れたいなんて考える最低な男や。

でも可愛いし、そう思うのはしょうがないやろ。

やっと両思いやってわかったんやから。

ずっとしたかったし。


「遠まわしすぎたな。俺やってお前が好きや。でも付き合うことは出来ひん。わかってくれ。でも離れて行かんでほしいねん。」


「妹として好きやからそばにいてってことやな・・・。亮ちゃん、それは無理やで。わたし亮ちゃんのことお兄ちゃんなんて見たこと一度もないんよ?」


このアホ。

また勘違いしとる・・。


「違う言うてるやろ!!俺もお前が好きやって。でも付き合うことが出来ひんって・・・。俺やってほんまは妹としてみてへん。」

ちょっと熱く言うてしまった。

「ほんま・・なん??じゃあなんで付き合うこと・・」

そううろたえながら聞くチョコに俺はゆっくり、瑞穂との約束を話した。

時に目を逸らしたりされたけど、チョコは聞いてくれとった。

そしてウケる話がお互い勘違いしとったってことや。


俺がずっと引っかかっとった”年下が好き”だっていうことはチョコがおふくろについた可愛い嘘やった。

しかもチョコやって俺が健治についた小さな嘘を心の傷にしとった。

それにはもうお互い笑うしかなかった。
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