【短編】12年の想い
亮ちゃんはそんなわたしを見てニコっと笑い


「ほんまやな。健治も俺と同じで複雑やろうな。ハハ。」


「どういう意味?」


全然意味がわかんなかった。

何でお兄ちゃんがそこに出てくるんか。


「妹が大人になるんやなぁって。」


「そっか・・・。」


わたしはまた胸に顔をうずめた。


知ってる。

亮ちゃんがわたしのこと、”女”として見てくれてへんってことくらい。

でも大人の女になればきっとって思ってた。

まだ・・足りないか。


「チョコ?」

不思議そうにわたしの名前を呼ぶ亮ちゃん。

あかんで、顔に出したら。

わかっとったことやん。

自分にそう言い聞かせてさっきみたいな笑顔を作った。


「亮ちゃん、ゲームしよ♪」


「おう。部屋行くか。」


そう言ってわたしたちは離れ、部屋に移動した。

普通に見たらカップルみたいやろ??

でも全然違う。

ほんま家族みたいなもんや。

亮ちゃんにとってわたしは。


顔は笑っとるけど重い足取りで部屋に向かった。
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