【短編】12年の想い
今日もゲームは惨敗。

勝つ日なんて殆どない。


「亮ちゃん、大人気ないわー・・・。」


ポツリと呟く。


「チョコ、大人になったんとちゃうんか??」

ニヤリと笑って言う。

こういうときだけでしょ、どうせ。


「大人になった。つもりやったんやけどな。」

そう言って床にコロンと寝転がった。

横のベッドの下に写真が落ちとるのがわかった。


「つもりやった?どういう意味なん?」

そう言っている亮ちゃん。

その時にわたしは手を伸ばしてその裏側を向いて落ちとった写真を拾った。


「ん、亮ちゃん落ちとったで。」

そう言って表にひっくり返した。

それは綺麗な大人っぽい女の人と亮ちゃんが笑い合って寄り添って一緒に写ってる写真やった。

初めて見た。

亮ちゃんと女の人がおるの。

亮ちゃんはピッとわたしの手からその写真を抜き取った。


「あぁ。ありがと。」

そう言うと机の引き出しの中にしまった。


彼女・・なんかな??

もしかしてわたしがこうやって来るから彼女家に連れて来れんだけであって、ほんまは彼女いるんやろか。


わたしは傷つくのが怖くて一度も恋愛の話をしたことがなかった。

亮ちゃんは妹やから恋人が出来ると複雑やなって前に言ったけどそれ以来わたしに恋愛事情を聞いてくることもなかった。


大人への一歩やな。


「綺麗な人やったな。彼女??」


どっからこんな笑顔出てくるんや。

自分でも呆れるくらいニヤけた顔してわたしは亮ちゃんに聞いた。
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