死にたかった
雨ちゃんと私
彼には幼なじみの女の子がいた。
私と彼よりひとつ下で、新しく高校1年生になったばかりの年らしい。
その子の名前は、雨ちゃん。
雨ちゃんはどうやらずっと、彼のことが好きだったみたい。
直接聞いたわけじゃないけれど、でも多分、ずっと好きだったんだと思う。
初めて会った時、雨ちゃんの笑顔に心が惹かれた。
彼と似た、太陽みたいな笑顔の少女。見ているこっちまで笑顔になってしまうような、そんな暖かい笑顔の少女。
でも彼が雨ちゃんに、私のことを、彼女だと紹介したとき。
雨ちゃんは笑っていなかった気がする。
雨ちゃんは私のことをじっと見ていた。
彼はそんな雨ちゃんのことを笑った。
雨ちゃんがじっと私の方を見てくるのがなんだかもどかしくて、私も雨ちゃんの方をじっと見た。それでも雨ちゃんは目を逸らさなかった。彼はそんな私たち二人を、笑った。