死にたかった
雨ちゃんと彼
ある日、雨ちゃんが死んだ。
それはきっと、いや、確実に。
私のせい。
今彼は泣いている。私はなぜだか泣いていない。
私なんかが泣いていいのだろうか。彼はきっと怒っている。彼だけじゃない、雨ちゃんの母親も、彼の母親も、みんな。みんな怒っている。きっと。私に。
そんなことを思う度に、そしてやっぱり雨ちゃんを死なせてしまったという事実に耐え切れずに、私は泣きそうになった。けれど涙は出ない。
雨ちゃんは私を救ってくれた。
お昼の時間。購買はとても混んでいて、その中で偶然雨ちゃんを見かけたものだから私は思わず呼び止めてしまった。雨ちゃんは振り返った。そして私に気付いてくれた。
その時だった。
名前も知らない女の子が、私に向かって走ってきたのは。
叫び声が聞こえたし、誰かが私の名前を呼ぶ声もしたし、何が何だか分からなかった。
けれど思わず瞑ってしまった目を開いたとき、そこには血まみれの雨ちゃんがいたのだ。
女の子…高校3年生だったらしい、その子は、私のせいで恋人を失ってしまったのだという。
よほど恋人が好きだったのだろう。私だって彼が大好きだから、彼を誰かに奪われたら許すことなんかできない。
でも。
それはそれでいいけれど。
そこで私が死ねばよかったのに。
なんで雨ちゃんが。死んじゃったの?