死にたかった
彼は偶然やって来た。だから雨ちゃんが死ぬ瞬間を彼は見届けたことになる。
私はその時何も分からなくてただ、血まみれの雨ちゃんを見ていた。腰が抜けて立つことはできなかった。
彼は雨ちゃんの元に走っていった。誰かが雨ちゃんのお腹に刺さっていた異物を抜き取ったところらしく、さらに血が溢れ出した。
私は目を逸らすことができなかった。
彼が雨ちゃんの名前を呼んだ。雨ちゃんは小さく彼の名前を呼んだ。
そのあとすぐに先生たちが来たし、購買のおばさんが呼んでいたらしい救急車も来た。
けれど雨ちゃんは助からなかった。
私が最後に見た雨ちゃんは、笑っていた。