野球ボールと君の夢


俺…確かにまた投げられたらいいと思う。

けど俺なんかが投げたら…

また…また…

「三橋…くん?」

顔をあげるとそこには阿部くんがいた。

「ちょっとさ、投げてみない?」


心臓のドクドクという音。
高鳴る気持ちがごちゃごちゃになって

いろんなことが脳裏をよぎった。

そういえば投手って俺しかいないんだ…

高校でも

投げれるかも しれない…

ピッチャーができるかもしれない…


でも



「お…俺   やめとき  ます…」


馬鹿…
調子に乗って
ピッチャーできるとか思っちゃって…



ーーー投げたい。

でも投げたって恥かくだけだよ。

どうせここでも認めてもらえない。


自然と涙があふれた。

中学のときと俺

かわってない。
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