野球ボールと君の夢


「俺 泣かすようなこと言った?」

阿部くんは他のメンバーに問いかけた。

「…ち ちがく て!」


「何が?」


俺の球とったら

阿部くん

絶望しちゃうよ?


「俺 球遅いから…」


阿部君はため息まじりに笑う。


「んな的外れな期待してないよ。


補欠だったの?」

違う…

俺は試合に無理やり出てた。

俺は首を振った。


「あ、なんだレギュラーだったんだ。

中学どこ?」

なんか優しかった。

怖がるなよ俺。


「み  三星…」

知ってるわけないよね。

だって群馬の学校だもん。

ここは埼玉。

「みほし?」


監督の横にいた志賀先生が

「もしかして群馬の三星学園?…かな?」


こくり。

そうだよ。俺はよそ者だよ。


「あぁもぅ!うっぜーな!」

びっくりして顔をあげたら
背がほかのメンバーより高い
花井君がいた。

「回りくどい自慢すんなよ!エースだったんだろ?お前!」

そ だけど…

まわりのみんながスゲーと沸いた。

ちがう!ちがうんだ。

「ちが くて…」


「え?」


「そこにいると ひ、ひいきでエースになっちゃうんだ。」



言おう。

素直に言おう。


俺の汚された 傷だらけの過去を。



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