君に触れたくて…




一番前の席で船を漕ぐ秋桜。



ふっ(笑)本当あいつ面白いよなー、




「宮路!」



ゴンっと鈍い音と共に
ハゲが手にしていた教科書の角が
秋桜の頭に当たった。




「……ったぁ」



「俺はの授業で寝るとは、いい度胸だ。
お前だけ、今日の課題倍にしてやる」



「えっ!酷いよ先生!なんであたしだけ~?」




クラス中がクスクスと笑う。
それが恥ずかしかったのか、
赤くなった頬を隠しながら
小さく縮こまる秋桜。


馬鹿だろ、本当に。







「お前馬鹿だろ」



「理音ひどいっ」



「いや、馬鹿でしょ」



「りっちゃんまで~」




目に涙をたっぷり溜め、
下から俺を見上げる。




う…わ、今のやばかった…




「理音…数学教えて?」




はっ?
なんで俺が。




「りっちゃん、バイトあるって
帰っちゃったんだもん」





なるほど。

って納得してる場合じゃねぇ。




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