君に触れたくて…
ちょうど智樹が通りかかった。
しかし、今の俺にはそんなことを気にする余裕などない。
「どうしたんだよ?」
智樹が放心状態の俺を覗いてくる。
「あたしね、理音くんの子供…できちゃったの」
「……は?」
智樹も俺同様、困惑した表情を見せる。
思い当たる節なんてない。
「避妊ちゃんとしてただろ。ってか、いつだよ」
「理科室の時…破れてたみたい」
彼女はおどけた様子で、舌をペロッと出してみせた。
その行動が、俺をイライラさせる。