君に触れたくて…
少し寂しそうに俯いて、理音がそう言った。
「ごめん…っ…りおん…」
「…よくできました」
優しく笑う理音に、あたしは不覚にも
“きゅん”としてしまった。
こいつのこと…大嫌いなのに…
胸のドキドキは止むことなく
あたしは、赤く染まった頬を
隠すことで精一杯だった。
「雨強いねー」
校門を出ると、大粒の雨が降っていた。
「送る」
「いいよぉ!」
「なんで?」
「だって…」
理音、逆方向だし。
なんか…悪いもん。
「理音に家知られたら毎日来そうで…」
なんであたし、
こんな可愛くないこと言っちゃうんだろう。