君に触れたくて…
秋桜に手を伸ばす。
頭に触れかけた時…
「理音」
背筋が凍る、とはこのことか。
聞き覚えのある声。
何とも言えない独特の雰囲気。
俺は…嫌いだ…
「お前は集会をさぼって女遊びか?」
なんで…
これしか頭になかった。
これこそ夢であってほしいと…
「理音、そいつ誰」
ニヤニヤと笑いながら言う。
顎から伸びる髭が気持ち悪く見えて仕方ない。
とにかく、秋桜を守らねぇと…
「いとこ…です」
咄嗟に口からでた嘘。
「え…」
何も知らない秋桜は、俺の突然の言葉に顔が曇る。
無理もない…