君に触れたくて…
なによ!ちょっとは追いかけて
きてくれたっていいじゃん…。
ま、言い出したのはあたしなんだし
仕方ないよね。
ってゆうか…
やっぱり夜の道を一人って
すごい怖いんですけど!
早く帰りたいよ~
「ねぇ、君」
「へ?」
あたし?
振り向くと、黒いジャージ姿の
若い男の一人が立っていた。
後ろには黒いワゴン。
「一人?」
「え、あ、はい」
「道…わかんないんだけど、
教えてくれるかな?」
あ、道ね。
あたし説明するの下手なんだよなぁ。
「いいですよ!どこですか?」
「〇〇に行きたいんだよね」
〇〇ってすぐ近くじゃん。
あたしは下手くそな説明を一生懸命した。
だけど
「うーん…わかんないなぁ。
一緒に着いてきてもらえない?」
「えっ?いやぁ…それはちょっと…」
あたしは超が付くほどの鈍感女で
“そういうこと”とは全く知らなかった。